昨年6月に開催した「早朝高血圧」に関するセミナー以降、多くの皆様からお問い合わせや原稿の依頼を頂戴し、その熱気に押されてこの本を執筆しました。私は33年間高血圧専門医として、臨床の現場に携わるうちに、患者さんは納得して医療を受けるべきであり、この本がその一助となればと切に願っております。
また世界的に専門家の間でコンセンサスの得られている医療の実践が重要であることは言うまでもなく、その意味で国際的な高血圧のガイドラインだけでなく、昨年末に発表された日本高血圧学会のガイドライン(JSH2004)の内容もふんだんに取り入れています。
また現在、高血圧はメタボリックシンドロームの一現象と理解されています。メタボリックシンドロームにつきましても、この春にガイドラインが発表され、それを盛り込んだ内容も本書の後半にあります。このシンドロームの元凶が肥満であることは明らかで、高血圧はその下にぶら下がっている生活習慣病のひとつです。生活習慣の改善が私たちにとって容易でないことは周知ですが、高血圧は生活習慣に関係なく優れた薬剤でコントロールすることができ、血管合併症を激減させます。
この本から、このようなことを読み取っていただき、日本国民が達成している最長の平均寿命の更なる伸長に寄与できれば幸いです。 |